EDの僕がハプニングバーに行ったら人生変わった【第一話】
この物語について
この物語は、私・柾木寛が「性感師」と呼ばれる仕事にたどり着くまでを、実体験をもとに描いたものです。
もちろん、最初から性感師になろうと思っていたわけではありません。むしろ、そんな仕事が世の中に存在することさえ、当時の私は知りませんでした。
いくつもの出会いがあり、別れがあり、迷いがありました。その一つひとつが重なって、気がつけば私は、女性の「性」と向き合う仕事をしていました。
物語では、登場人物のプライバシー保護と読みやすさのため、時系列や場所、人物設定の一部を再構成しています。会話についても、当時の記憶をもとに表現を整えています。
しかし、そこで起きた出来事は、実際の体験をもとにしています。
これは、一人の男がさまざまな女性と出会い、性について知り、やがて「性感師・柾木寛」になっていくまでの物語です。

第1話 40歳、男として焦り始める
40歳の誕生日を迎えたとき、なんとも言えない不安に襲われた。
――このまま、どんどんおじさんになっていくのではないか。
鏡に映る自分を見ながら、急に焦り始めた。

これはまずい。何か対策をしなければならない。
こうして僕は、密かに「アンチエイジング計画」を始めた。
ただの清潔なおじさん?
まず、長年通っていた床屋を卒業し、美容室へ行った。
床屋では感じたことのない華やかな空気に包まれ、少しだけ若返った気がした。
次に、眼鏡をコンタクトレンズへ替えた。
髪型を整え、眼鏡も外す。

――おお。なんとなく、いい感じではないか。
気持ちも軽くなり、少しずつ自信が戻ってきた。
しかし、何かが足りない。決定的に足りないものがあった。
女っ気である。
週末なのに家から一歩も出ず、誰とも話さないまま一日が終わることもある。
僕の生活に登場する女性といえば、通勤途中ですれ違う人と、会社の事務員さんくらいだった。
若いころは、もう少し女性と出会う機会があった気がする。
このままでは、せっかくのアンチエイジング計画が「ただの清潔なおじさん計画」で終わってしまう。
女性と出会える場所を探す
そこで僕は、スポーツクラブへ通うことにした。
女性もいる。運動すれば痩せられる。出会いと若返りを同時に手に入れる、一挙両得の神プランである。
運命の出会いを期待し、意気揚々と入会した。
ところが数か月後。確かに身体は少し引き締まった。
しかし、誰もが黙々とマシンに向かい、真剣にトレーニングしている。女性へ気軽に話しかけられるような雰囲気ではない。

――これは、思っていたのと違う。
次に目をつけたのは、ヨガ教室だった。
ここなら女性が多い。マシンに向かうスポーツクラブとは違い、自然な交流も生まれるかもしれない。そう確信して申し込もうとしたが、最初に見つけた教室は男性の参加不可だった。
まさかの男子禁制である。
それでも諦めずに探し、ようやく男性も参加できる教室を見つけた。
ヨガマットを抱え、期待を胸に通い始める。
顔見知りの女性もできた。クラスの雰囲気もよく、会えば気軽に話してくれる。

けれど、何かが違った。
僕は女性と日常会話を楽しむために、ここへ来たのだろうか。そもそも、女性と仲良くなって何がしたいのか。
彼女が欲しいのだろうか。
いや、それとも違う。
僕が本当に求めていたもの
考えているうちに、長い間しまい込んでいた感覚が、少しずつよみがえってきた。僕は、もう一度、男として女性の身体に触れたかった。
結婚していた頃のSEXは、いつしか「家族をつくるための手続き」のようになっていた。
子育てと生活に追われるうちに、性への興味だけでなく、男としての自分まで、どこかへ置いてきてしまったのだと思う。
そして今、一人になって、ようやく気づいた。誰にも気兼ねすることなく、もう一度、男として人生を楽しんでみたい。

ただの中年男性ではなく、ひとりの男として女性から見られたい。そして、もう一度、男として女性の身体に触れたかった。
失っていた感覚を取り戻し、人生そのものをもう一度動かす。それこそが、僕の本当のアンチエイジング計画だった。
「大人の出会い」という看板
そのとき、以前から気になっていた看板を思い出した。
某駅の裏路地に、ひっそりと立てられていた看板。
そこには、ただ一言こう書かれていた。
「大人の出会い」

店のホームページを探し、掲示板をのぞいてみた。
しかし、書き込まれているのは「今夜行きます。さくら」「これから向かいます。友子」といった来店予告ばかり。
どんな店なのか、具体的なことはよくわからない。
わからないからこそ、余計に気になった。
もしかすると、今の僕が探している場所なのではないか。
ある夜、時計の針が21時を指すころ、僕はその店の前に立っていた。
扉の向こうから、低い音楽が聞こえる。
ここまで来たのだから、入るしかない。
僕は意を決し、扉を開けた。
扉の向こうにあった世界

店内には、小洒落たカウンターと落ち着いた照明があった。
男女数人が離れた席に座り、それぞれ静かにグラスを傾けている。
僕が想像していた怪しい店とは、少し違った。
ここは、まるで大人の社交場だった。
緊張しながら、カウンターの端へ座る。
「ようこそ」
マスターが笑顔で声をかけてくれた。
その一言で、胸の中にあった不安が少しだけほどけた。
そして、周りを観察していて奇妙なことに気づいた。
一人で来ていたはずの男女が、いつの間にか親しげになり、そろって店内の階段を上っていくのだ。

気になった僕は、マスターに尋ねた。
「あの二人、待ち合わせしていたんですか?」
マスターは磨いていたグラスから視線を上げ、意味ありげに笑った。
「違いますよ。ここは、お酒を飲むだけの場所ではありません。気が合えば、一緒に大人の時間を楽しむこともできるんです」
「大人の時間って……どこかへ行くの?」
身を乗り出す僕に、マスターは上を指さした。
「上の5階が、カップル専用のフロアになっています。一人では入れません」
――この上に、そんな世界があるのか。
僕はグラスを揺らしながら、階段の先を見つめた。
いつか僕も、女性と二人であの階段を上れるのだろうか。

40歳になり、男として焦り始めた僕。
けれど、その夜。
焦りながら開けた扉の向こうに待っていたのは、僕が想像もしなかった世界だった。
やがて年間250回以上ラブホテルへ足を運び、800人を超える女性たちの身体と性に向き合うことになる。
あのときの僕は、まだ知らなかった。
何気なく開けたその扉が、「性感師・柾木寛」へと続く最初の扉だったことを。
――つづく。
第2話 10年ぶりのSEXで、僕は勃たなかった
